龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
2
放課後の学校は異様な雰囲気に包まれていた。
告白大会って感じ
廊下の片隅で、人気のない特別教室で、
頭をかきかきチョコを受け取る男の子
笑顔の女の子
友達の肩で泣く女の子
教室の窓からぼんやりと向かい側の棟を見ていると、わたしの横に美幸が並んだ。
「亜由美は?」
「義理チョコ配って歩いてる。十五、六個はあったよ」
「お歳暮みたい」
わたし達は笑った。
「学校中、バレンタイン一色ね」
わたしの言葉に、美幸が『そうね』と相槌を打つ。
「みんなきっかけが欲しいだけなんだよね。臆病な自分の背中を押してくれる何かって言うのかな」
「美幸は失恋した事ある?」
「あるよ。つらかったけど、この世の終わりって訳じゃない。志鶴は?」
「わたし、今まで恋をしたことないの」
「マジで? 彼氏いなかったのは分かるけど、誰にも? ちょっぴりドキドキとかもないの?」
「うん、まあ。今は圭吾さんにかなりドキドキしてるけど」
「じゃあ一生、失恋とは無縁だわ」
告白大会って感じ
廊下の片隅で、人気のない特別教室で、
頭をかきかきチョコを受け取る男の子
笑顔の女の子
友達の肩で泣く女の子
教室の窓からぼんやりと向かい側の棟を見ていると、わたしの横に美幸が並んだ。
「亜由美は?」
「義理チョコ配って歩いてる。十五、六個はあったよ」
「お歳暮みたい」
わたし達は笑った。
「学校中、バレンタイン一色ね」
わたしの言葉に、美幸が『そうね』と相槌を打つ。
「みんなきっかけが欲しいだけなんだよね。臆病な自分の背中を押してくれる何かって言うのかな」
「美幸は失恋した事ある?」
「あるよ。つらかったけど、この世の終わりって訳じゃない。志鶴は?」
「わたし、今まで恋をしたことないの」
「マジで? 彼氏いなかったのは分かるけど、誰にも? ちょっぴりドキドキとかもないの?」
「うん、まあ。今は圭吾さんにかなりドキドキしてるけど」
「じゃあ一生、失恋とは無縁だわ」