龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
呆気に取られていると、最後にわたしが用意したバレンタインのプレゼントを渡され、制服と鞄は部屋に置いておくと言われ、


どうなってるの?


首を傾げながら圭吾さんの部屋のドアを開けた。

部屋の中は薄暗かった。


「圭吾さん? ただいま」

怖ず怖ずと声をかけると

「お帰り。入っておいで」

と、圭吾さんの声がした。


声のする方に行くと、テラスへ出る大窓の前に圭吾さんがいた。

床にはピクニック用のブランケットが敷いてあって、小さなテーブルとクッションがいくつか置いてある。

電池式のキャンドルがほのかに光っている。


「すごく可愛いね」

圭吾さんは、わたしの姿を見てニッコリと笑った。


「ありがとう。今日はデートだって聞いたんだけど」


「そうだよ。お家デートを計画してみたんだ」


「ひょっとしてここでピクニック?」

わたしが言うと、圭吾さんがうなずいた。

「ステキ!」


「よかった。今日は二人っきりで過ごしたかったから」

圭吾さんはそう言うと、リボンをかけた細長い箱を差し出した。

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