龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】

「志鶴――」

耳元で低い声が囁く。


圭吾さん?


わたしは両手を差し延べて、キスを受ける。

長い指が喉から下に滑って、その後をキスが追う。

優しい指と熱いキス


待って もう少しゆっくり

これじゃ、わたし……


うううわぁぁぁぁぁっ!


わたしはガバッと起き上がって、キョロキョロと辺りを見回した。

実家のマンションの自分の部屋だ。


夢? 夢――そう、夢よ


三日連続で圭吾さんの夢を見ている。

それも、きわどい夢ばかり……

今……今、わたし何されてた?

ああ、恥ずかしい


時計を見ると、まだ朝の五時半。

いつも圭吾さんが目を覚ます時間だなぁ

今日は、圭吾さんに電話できない日だ


明日も

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