龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
たぶん
わたしがあんなに長谷川くんに腹が立ったのは、自分を見ているようだったから。
子供っぽくて、臆病で、相手の優しさに甘えて自分の殻から出ようともしない。
そのくせ相手が距離を置こうとしたら、嫌だと駄々をこねる。
わたしだって、今、圭吾さんに『お兄さんのままでいる』って言われたら嫌だって言うはず。
『あなたが本気だって言うなら、本気を見せてみなさいよ!』
あれは、わたし自身に向けた言葉でもあるんだ。
でも今日なら
みんなが愛を告白する今日なら――
「あのね、圭吾さん」
「ん? 何?」
わたしは姿勢を正して座り直した。
「わたし、圭吾さんの恋人になりたいの」
圭吾さんは優しく微笑んだ。
「君は僕の唯一の恋人だよ」
「そうじゃなくて」
ああ、もう! 気づいて!
「本当の恋人に。わたしを抱いて。そして愛して」
わたしがあんなに長谷川くんに腹が立ったのは、自分を見ているようだったから。
子供っぽくて、臆病で、相手の優しさに甘えて自分の殻から出ようともしない。
そのくせ相手が距離を置こうとしたら、嫌だと駄々をこねる。
わたしだって、今、圭吾さんに『お兄さんのままでいる』って言われたら嫌だって言うはず。
『あなたが本気だって言うなら、本気を見せてみなさいよ!』
あれは、わたし自身に向けた言葉でもあるんだ。
でも今日なら
みんなが愛を告白する今日なら――
「あのね、圭吾さん」
「ん? 何?」
わたしは姿勢を正して座り直した。
「わたし、圭吾さんの恋人になりたいの」
圭吾さんは優しく微笑んだ。
「君は僕の唯一の恋人だよ」
「そうじゃなくて」
ああ、もう! 気づいて!
「本当の恋人に。わたしを抱いて。そして愛して」