龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
「大好きだよ」

「ああ、父さんもだ」


照れ屋の似た者親子


「ねえ、ママの飼っていた羽トカゲいたでしょ?」

「ああ」

「あの子はどうしたの?」

「死んでしまってね」


それは知ってる


「ペット霊園で焼いてもらった。灰は……実は、ママのお墓にこっそり入れた」


ええっ? やるじゃん、親父

じゃあ、ママは寂しくない

ハクも


「わたしがお嫁に行ったら、親父が寂しくなるね」

「結婚していいとは言ったが、お前の気が変わるかもしれない」


変わらないわよ


「婿とまではいかなくても、この近くに住んでくれるような相手はどうだ?」


意外としつこいわね

「悪いけど、気持ちは変わらないわよ」

圭吾さんが許すはずがない


「やっぱりママの娘だな……親の言うことなんて聞く訳がない」

親父はぼやくように言った。

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