龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
「内緒だよ」
わたしは笑って答えた。
実のところ、羽竜の子は竜城神社以外のところで願い事をしてはいけないらしい。
他の神社では神様に挨拶するだけ。
おみくじとかお守りを買ってもいけない――修学旅行でみんなに何度も注意された。
「今年は少し暖かいね」
隣に立つ男の子が言う。
「そうね。去年は無茶苦茶寒かったものね」
うーん……ホントにこの人、何て名前だっけ?
同級生なのは確かよ。
「去年は三田さんに声をかけたかったのに、結局できなくて。今年は話せてよかった」
男の子は照れたように笑った。
「引っ越したんだよね?」
「引っ越したっていうか、親戚の家に居候してるの」
「新しい友達できた?」
「ええ。できたわよ」
「よかった。中学の時はいつも、そう……どことなく寂しそうだったから」
わたしは驚いて男の子を見返した。
そんなところに注目されてたとは知らなかった。
「引っ込んでばかりじゃダメだよ。じゃないと後で後悔するから」
「うん。ありがとう」
わたしは笑って答えた。
実のところ、羽竜の子は竜城神社以外のところで願い事をしてはいけないらしい。
他の神社では神様に挨拶するだけ。
おみくじとかお守りを買ってもいけない――修学旅行でみんなに何度も注意された。
「今年は少し暖かいね」
隣に立つ男の子が言う。
「そうね。去年は無茶苦茶寒かったものね」
うーん……ホントにこの人、何て名前だっけ?
同級生なのは確かよ。
「去年は三田さんに声をかけたかったのに、結局できなくて。今年は話せてよかった」
男の子は照れたように笑った。
「引っ越したんだよね?」
「引っ越したっていうか、親戚の家に居候してるの」
「新しい友達できた?」
「ええ。できたわよ」
「よかった。中学の時はいつも、そう……どことなく寂しそうだったから」
わたしは驚いて男の子を見返した。
そんなところに注目されてたとは知らなかった。
「引っ込んでばかりじゃダメだよ。じゃないと後で後悔するから」
「うん。ありがとう」