龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
「犬を嫌いではないといいのですが」
犬?
「平気ですよ。連れていらっしゃい」
親父が言うと、常盤さんはホッとしたように自分の車に戻った。
大きな犬を想像していたわたしは、常盤さんがそっと持ってきた小型犬用のキャリーバッグを見て目を丸くした。
常盤さんが、後部座席にキャリーバッグと一緒に乗り込む。
「助かりました。わたしはいいのですが、犬が寒そうで」
「常盤さん、どんな犬を飼ってらっしゃるの?」
わたしは後部座席を振り返ってきいた。
常盤さんがバッグのファスナーを少し開けると、おもちゃみたいな黒いチワワと、羊みたいな白いトイプードルが顔を出した。
いつも気取った感じの常盤さんがこんなかわいいペットを飼っているなんて――わたしはニヤニヤ笑いたくなるのを堪えた。
「かわいいですね」
「いつもは妹が世話をしているのですが、友人と海外旅行に行ってしまいましてね」
お兄様は犬の世話を押し付けられたんだ。
「レッカー車が来たら、町中までお送りしますよ」
親父が言った。
犬?
「平気ですよ。連れていらっしゃい」
親父が言うと、常盤さんはホッとしたように自分の車に戻った。
大きな犬を想像していたわたしは、常盤さんがそっと持ってきた小型犬用のキャリーバッグを見て目を丸くした。
常盤さんが、後部座席にキャリーバッグと一緒に乗り込む。
「助かりました。わたしはいいのですが、犬が寒そうで」
「常盤さん、どんな犬を飼ってらっしゃるの?」
わたしは後部座席を振り返ってきいた。
常盤さんがバッグのファスナーを少し開けると、おもちゃみたいな黒いチワワと、羊みたいな白いトイプードルが顔を出した。
いつも気取った感じの常盤さんがこんなかわいいペットを飼っているなんて――わたしはニヤニヤ笑いたくなるのを堪えた。
「かわいいですね」
「いつもは妹が世話をしているのですが、友人と海外旅行に行ってしまいましてね」
お兄様は犬の世話を押し付けられたんだ。
「レッカー車が来たら、町中までお送りしますよ」
親父が言った。