龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
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羽竜家の玄関を入ると、圭吾さんがいた。
玄関先で待ち構えていた、って言った方がいいかも。
「ただいま、圭吾さん。明けましておめでとうございます」
わたしが笑顔で言うと、圭吾さんは『おかえり』とニッコリと笑った。
それから親父と新年の挨拶を交わして、家に上がるように勧めた。
「では、少しだけ。後で圭吾君に頼みたいことがあるんだが」
「いいですよ」
圭吾さんは愛想よく言ってから、わたしの方をチラリと見た。
「随分と……その……遅かったね」
歯切れが悪いわよ
町の端の龍道を越えたところから、追跡していたわね
羽竜一族は龍神様の子孫で、それぞれ不思議な力を持っている。
圭吾さんは普段、わたしの前ではそういう力を使わないようにしているけれど、今日はしびれを切らして使ったようだ。
「途中、車の故障で立ち往生している人に出会ってね」
親父が言った。
「レッカー車が来るまで少し待っていたんだ」
玄関先で待ち構えていた、って言った方がいいかも。
「ただいま、圭吾さん。明けましておめでとうございます」
わたしが笑顔で言うと、圭吾さんは『おかえり』とニッコリと笑った。
それから親父と新年の挨拶を交わして、家に上がるように勧めた。
「では、少しだけ。後で圭吾君に頼みたいことがあるんだが」
「いいですよ」
圭吾さんは愛想よく言ってから、わたしの方をチラリと見た。
「随分と……その……遅かったね」
歯切れが悪いわよ
町の端の龍道を越えたところから、追跡していたわね
羽竜一族は龍神様の子孫で、それぞれ不思議な力を持っている。
圭吾さんは普段、わたしの前ではそういう力を使わないようにしているけれど、今日はしびれを切らして使ったようだ。
「途中、車の故障で立ち往生している人に出会ってね」
親父が言った。
「レッカー車が来るまで少し待っていたんだ」