龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
「常盤さんよ」
きかれる前にわたしは答えた。
「常盤? あいつ、今頃ここで何をやってるんだ?」
さあ?
『あんな奴、放っておけばよかったのに』
圭吾さんの心の声が聞こえる気がした。
家に入ると、みんなの顔に安心したような表情がありありと浮かんでいた。
「圭吾さん、酷かった?」
圭吾さんが親父と一緒に別室に消えてから、わたしは従姉の彩名さんにきいた。
「それがね、そうでもなかったのよ。みんなが覚悟していたよりもずっと機嫌がよかったの。ピリピリしてたのはこの一時間くらいよ」
あー すぐに着くはずのわたしがモタモタしてたからね
「でも志鶴ちゃんが帰って来てくれたから、これであの子も落ち着くでしょう」
ええ、そう
圭吾さんはわたしを決して怒らない。
だからみんな、わたしなら簡単だと思っているみたいだけど、圭吾さんのご機嫌取りってそれなりに大変なのよ。
わざとわがまま言って、甘えてみせて、最後にキスを奪われるんだから。
きかれる前にわたしは答えた。
「常盤? あいつ、今頃ここで何をやってるんだ?」
さあ?
『あんな奴、放っておけばよかったのに』
圭吾さんの心の声が聞こえる気がした。
家に入ると、みんなの顔に安心したような表情がありありと浮かんでいた。
「圭吾さん、酷かった?」
圭吾さんが親父と一緒に別室に消えてから、わたしは従姉の彩名さんにきいた。
「それがね、そうでもなかったのよ。みんなが覚悟していたよりもずっと機嫌がよかったの。ピリピリしてたのはこの一時間くらいよ」
あー すぐに着くはずのわたしがモタモタしてたからね
「でも志鶴ちゃんが帰って来てくれたから、これであの子も落ち着くでしょう」
ええ、そう
圭吾さんはわたしを決して怒らない。
だからみんな、わたしなら簡単だと思っているみたいだけど、圭吾さんのご機嫌取りってそれなりに大変なのよ。
わざとわがまま言って、甘えてみせて、最後にキスを奪われるんだから。