龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
ややしばらくして、圭吾さんと親父が戻ってきた。

圭吾さんは、彩名さんとお茶を飲んでいたわたしの横に立った。

いつもなら手を伸ばして抱きつくところだけど、さすがに親父の目が気になる。

圭吾さんはわたしの顔を見て、

「今日は随分と冷たいね」

って言った。


親の目の前で、いつもみたいなことできないわよっ!


圭吾さんは手を伸ばして、わたしの髪を一房手に取った。

「志鶴はちょっと離れたら、こんなに冷めちゃうんだな」


真面目な顔で当てこすり言うのはやめてよ~


髪の先まで神経が通っているみたい。

長い髪だっていうのに、圭吾さんの手に弄ばれている感触が伝わってくる。

ああ、ドキドキする


「後でね」

仕方なく、わたしは小声で言った。


「『後で』か……楽しみにしてるよ」

圭吾さんは微笑みながらささやくように言うと、わたしの髪から手を離した。


まずい

一週間離れていた間に免疫なくなったかも

圭吾さんにちゃんとキスできるかなぁ

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