龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
3
「僕の部屋の冷蔵庫を漁りにおいで。ちょっとした見物(みもの)だよ」
わたしがお風呂から上がると、圭吾さんが言った。
「アイスクリームでいっぱい――とか?」
「いい読みだね。でも買ったのは僕じゃない」
「彩名さん?」
「はずれ。いいからおいでよ」
わたしは思わず、差し出された手に自分の手を預けた。
圭吾さんが伏し目がちに微笑み、わたしを引き寄せる。
「髪、まだ濡れてるね。どうしていつもちゃんと乾かさないんだ?」
「長くて面倒なんだもの」
そして今日は時間かせぎよ
わたしの髪を乾かしているうちはキスできないでしょ
その間にわたしも落ち着くわ――たぶん
「そのうち乾くわ」
「その前に風邪をひくよ。行こう。僕の部屋で乾かしてあげるから」
圭吾さんはわたしが肩にかけていたタオルで、濡れたままの髪を器用に包んだ。
優しい手つき
いつもと変わらない圭吾さんの優しさに、わたしは心の中で安堵のため息をついた。
わたしがお風呂から上がると、圭吾さんが言った。
「アイスクリームでいっぱい――とか?」
「いい読みだね。でも買ったのは僕じゃない」
「彩名さん?」
「はずれ。いいからおいでよ」
わたしは思わず、差し出された手に自分の手を預けた。
圭吾さんが伏し目がちに微笑み、わたしを引き寄せる。
「髪、まだ濡れてるね。どうしていつもちゃんと乾かさないんだ?」
「長くて面倒なんだもの」
そして今日は時間かせぎよ
わたしの髪を乾かしているうちはキスできないでしょ
その間にわたしも落ち着くわ――たぶん
「そのうち乾くわ」
「その前に風邪をひくよ。行こう。僕の部屋で乾かしてあげるから」
圭吾さんはわたしが肩にかけていたタオルで、濡れたままの髪を器用に包んだ。
優しい手つき
いつもと変わらない圭吾さんの優しさに、わたしは心の中で安堵のため息をついた。