龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
圭吾さんの部屋は、離れの三階のフロアー全部。
マンションのような作りになっていて、小さなキッチンもある。
小ぶりの冷蔵庫に、いつも圭吾さんはわたしが好きそうな物を入れておいてくれる。
そこに、今日はカップのアイスクリームがいっぱい入っていた。
どれもこれも有名な牧場のプレミアム限定品だ。
「どうしたのこれ?」
「分家の叔母から――つまり悟のお母さんから年始の挨拶に貰ったんだ。君にだって」
圭吾さんの従弟の悟くんとわたしは確かに仲良しだけど――
「これ、すごく高いよね?」
「たぶんね。気後れしたの?」
わたしはコクンとうなずいた。
「悟の家も裕福だよ。これくらい普通だ」
「でも……」
「少し離れていただけで一からやり直しか」
圭吾さんはため息混じりに言った。
「志鶴は遠慮のし過ぎだ。他意のないプレゼントにさえ後込みをする。ただ君に喜んでほしいだけなのが分からないのか?」
圭吾さんが言っているのは悟くんのお母さんの事だけじゃない。圭吾さんの事も言っているんだ。
マンションのような作りになっていて、小さなキッチンもある。
小ぶりの冷蔵庫に、いつも圭吾さんはわたしが好きそうな物を入れておいてくれる。
そこに、今日はカップのアイスクリームがいっぱい入っていた。
どれもこれも有名な牧場のプレミアム限定品だ。
「どうしたのこれ?」
「分家の叔母から――つまり悟のお母さんから年始の挨拶に貰ったんだ。君にだって」
圭吾さんの従弟の悟くんとわたしは確かに仲良しだけど――
「これ、すごく高いよね?」
「たぶんね。気後れしたの?」
わたしはコクンとうなずいた。
「悟の家も裕福だよ。これくらい普通だ」
「でも……」
「少し離れていただけで一からやり直しか」
圭吾さんはため息混じりに言った。
「志鶴は遠慮のし過ぎだ。他意のないプレゼントにさえ後込みをする。ただ君に喜んでほしいだけなのが分からないのか?」
圭吾さんが言っているのは悟くんのお母さんの事だけじゃない。圭吾さんの事も言っているんだ。