龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
涙がアイスクリームの上に落ちた。
圭吾さんはいつでもわたしを思ってくれるのに、わたしの方はちゃんと圭吾さんに向き合っていない。
ドライヤーの音がしていてよかった。
鼻がぐずついてカッコ悪いもの。
わたしは目をしばたいて、必死に涙を払おうと頑張った。
アイスクリームを飲み込む度に喉の少し下が痛む。
やがてドライヤーの音が止んで、圭吾さんはブラシでわたしの髪を梳かした。
「終わった?」
何か言わなきゃと思ったわたしの言葉は、不自然に明るくなってしまった。
圭吾さんの手がピタッと止まった。
あ……まずい
左手がいきなり伸びてきて、わたしの頬を確かめた。
悪態をつく声がして、ブラシが床に落ちる。
気がついた時には、わたしは両脇を抱え上げられて、両手にアイスクリームのカップとスプーンを持ったままという何とも間が抜けた格好で、圭吾さんの膝の上に座らせられていた。
「泣かせるつもりじゃなかった」
圭吾さんは悔やむように言うと、いきなりわたしの唇を奪った。
ちょっと待って!
持ってるアイスクリーム、どうすればいいの?
圭吾さんはいつでもわたしを思ってくれるのに、わたしの方はちゃんと圭吾さんに向き合っていない。
ドライヤーの音がしていてよかった。
鼻がぐずついてカッコ悪いもの。
わたしは目をしばたいて、必死に涙を払おうと頑張った。
アイスクリームを飲み込む度に喉の少し下が痛む。
やがてドライヤーの音が止んで、圭吾さんはブラシでわたしの髪を梳かした。
「終わった?」
何か言わなきゃと思ったわたしの言葉は、不自然に明るくなってしまった。
圭吾さんの手がピタッと止まった。
あ……まずい
左手がいきなり伸びてきて、わたしの頬を確かめた。
悪態をつく声がして、ブラシが床に落ちる。
気がついた時には、わたしは両脇を抱え上げられて、両手にアイスクリームのカップとスプーンを持ったままという何とも間が抜けた格好で、圭吾さんの膝の上に座らせられていた。
「泣かせるつもりじゃなかった」
圭吾さんは悔やむように言うと、いきなりわたしの唇を奪った。
ちょっと待って!
持ってるアイスクリーム、どうすればいいの?