龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
枯木残らず花が咲く

「おはよう。インフルエンザはもういいの?」

久しぶりに登校したわたしに、友達の亜由美が言った。


新学期早々、わたしはインフルエンザにかかって学校を休んでいたのだ。


「うん。特効薬が効いてすぐよくなったんだけど、入れ代わりに圭吾さんがインフルエンザになっちゃって」


「なぁに? ラブラブ看病休み?」

もう一人の仲良し、美幸が言う。

言うのはいいのだけれど、美幸は声がでかい。

あっという間にクラスの女の子達に取り囲まれた。


「いいなぁ、志鶴は。あの圭吾さんと両思いだもの」

「毎日一緒だし」

「ね、ね、バレンタインはどうするの?」


バレンタイン?


キョトンとしているわたしに、みんなは呆れたように上を見た。


「バレンタインデーよ! 二月十四日! 女の子から告白する日!」


「え……だって、チョコレート渡して告白する日でしょ?」

わたしは戸惑いながら言った。


圭吾さんとわたしはもうカップルだもの。

それにまだ一月でしょ?

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