龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
「そうですね。圭吾様になら、ブラウニーなどはいかがですか? チョコレートケーキの一種ですよ。甘さの調整もできますし」
そうそう。そういう助言がほしかったのよ
材料はお手伝いさん達が用意してくれることになった。
わたしはラッピング用のグッズと一緒にプレゼントするものを買ってくるだけでいいらしい。
「圭吾さんには内緒ね」
わたしが言うと、みんなは訳知り顔でうなずいた。
よしっ! 順調だわ
わたしは気をよくして、伯母にただいまの挨拶をしてから彩名さんのアトリエのドアを叩いた。
「志鶴ちゃん、お帰りなさい。ちょっと手伝ってほしいの、いいかしら?」
二つ返事で中に入ると、パンツスーツの若い女性がいた。
髪を後ろにねじるように結い上げて、どんな構造になっているのかわたしにはよく分からないヘアアクセサリーで留めている。
キャリアウーマン風のその人は、キビキビした口調で挨拶をした。
「夏の花火大会の時に会っているんだけど、あの大騒ぎの中じゃ覚えていないわよね」
「ええ、まあ。じゃ、彩名さんのお友達なんですね」
「そうよ。東京でアパレル関係の仕事をしているのだけれど、今回、彩名の個展に合わせてコラボ企画を考えているの」
そうそう。そういう助言がほしかったのよ
材料はお手伝いさん達が用意してくれることになった。
わたしはラッピング用のグッズと一緒にプレゼントするものを買ってくるだけでいいらしい。
「圭吾さんには内緒ね」
わたしが言うと、みんなは訳知り顔でうなずいた。
よしっ! 順調だわ
わたしは気をよくして、伯母にただいまの挨拶をしてから彩名さんのアトリエのドアを叩いた。
「志鶴ちゃん、お帰りなさい。ちょっと手伝ってほしいの、いいかしら?」
二つ返事で中に入ると、パンツスーツの若い女性がいた。
髪を後ろにねじるように結い上げて、どんな構造になっているのかわたしにはよく分からないヘアアクセサリーで留めている。
キャリアウーマン風のその人は、キビキビした口調で挨拶をした。
「夏の花火大会の時に会っているんだけど、あの大騒ぎの中じゃ覚えていないわよね」
「ええ、まあ。じゃ、彩名さんのお友達なんですね」
「そうよ。東京でアパレル関係の仕事をしているのだけれど、今回、彩名の個展に合わせてコラボ企画を考えているの」