龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
紅(くれない)匂う
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うーん……
どうしてこんなに品物があふれているんだろ
バレンタインデーグッズを売る特設ストアときたら、赤とピンクのハートがこぼれ落ちそうな別世界だ。
「あー、そのチョコおいしそう」
お高いトリュフチョコレートのサンプルを、かぶりつくように見ているわたしを見て、美幸が呆れたように首を振った。
「もう、カッコ悪いわね。買って食べればいいじゃん」
「『自分で食べます』ってカッコ悪くない?」
「言わなきゃ分かんないでしょ」
そうか
「でも、確かに変よね」
亜由美が言う。
「絶対に女の子の方がチョコレート好きなのに、どうして男の子にプレゼントしなきゃならないの?」
「製菓会社が目測を誤ったんだろ」
悟くんはカラフルな男性用下着のパックを手にしながら言った。
「それ、誰かに贈るんですか?」
こら、美月! そんなのガン見すんじゃない!
「自分ではこうかな。美月ちゃんもどう? うちの大輔に」
「そうですね……」
どうしてこんなに品物があふれているんだろ
バレンタインデーグッズを売る特設ストアときたら、赤とピンクのハートがこぼれ落ちそうな別世界だ。
「あー、そのチョコおいしそう」
お高いトリュフチョコレートのサンプルを、かぶりつくように見ているわたしを見て、美幸が呆れたように首を振った。
「もう、カッコ悪いわね。買って食べればいいじゃん」
「『自分で食べます』ってカッコ悪くない?」
「言わなきゃ分かんないでしょ」
そうか
「でも、確かに変よね」
亜由美が言う。
「絶対に女の子の方がチョコレート好きなのに、どうして男の子にプレゼントしなきゃならないの?」
「製菓会社が目測を誤ったんだろ」
悟くんはカラフルな男性用下着のパックを手にしながら言った。
「それ、誰かに贈るんですか?」
こら、美月! そんなのガン見すんじゃない!
「自分ではこうかな。美月ちゃんもどう? うちの大輔に」
「そうですね……」