龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
もう、悟くんったら、綺麗な顔してホントに人が悪い

そんなの美月から貰ったら、大輔くん卒倒するよ


「そういえばさ」

美幸が言った。

「志鶴って、お小遣どうしてるの?」


わたしは何とかトリュフチョコのサンプルから目を離した。


「親父のお給料の一部が、毎月わたしの口座に振り込まれるようになってるの。生活費は圭吾さんが絶対受け取らないけど、授業料とかわたしのお小遣はそこから出してる。本当はアルバイトしてプレゼントを買いたかったんだけど」


「それは無理でしょう」

亜由美が言った。


「うん。圭吾さんに内緒でできる事はこのくらいが限度よ」


それにしても、何を贈ろう?


チョコレートやギフトパッケージに混じって、プレゼントにすぐ選べるような小物が並んでいる。


靴下、ネクタイ――お父さんじゃあるまいし

ハンカチ――微妙

お酒――圭吾さんはほとんど飲まない

下着――論外


お財布とか? カードケース?


あっ あった

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