龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
3
程なくわたし達と落ち合った圭吾さんは、ひどく不機嫌だった。
こんなに早く着いたのは、龍神の通り道だという龍道を通って来たからだ。
「どうなっている、悟? 電話じゃさっぱり話が分からなかったぞ」
わたしでもビビりそうなくらい厳しい声。
「そうだろ? 電話じゃ埒が明かないから呼び出したんだよ」
悟くんは飄々と切り返す。
「志鶴」
圭吾さんが苛立ったようにわたしを呼ぶ。
「はいっ!」
勢いよく返事をしたものの、美幸にピッタリとくっついたままのわたしを見て、圭吾さんは顔をしかめた。
「おいで、志鶴」
口調が和らいだ。
「こちらへ。君が無事かどうかを確かめさせてくれ」
わたしはおずおずと圭吾さんの前まで行った。
「怖がらないで」
圭吾さんはわたしの頬に触れてそう言った。
「君に怒っているわけじゃない」
じゃあ誰に怒っているの?
それとも、何に、かな?
わたしはゆっくりと圭吾さんに身を寄せた。
こんなに早く着いたのは、龍神の通り道だという龍道を通って来たからだ。
「どうなっている、悟? 電話じゃさっぱり話が分からなかったぞ」
わたしでもビビりそうなくらい厳しい声。
「そうだろ? 電話じゃ埒が明かないから呼び出したんだよ」
悟くんは飄々と切り返す。
「志鶴」
圭吾さんが苛立ったようにわたしを呼ぶ。
「はいっ!」
勢いよく返事をしたものの、美幸にピッタリとくっついたままのわたしを見て、圭吾さんは顔をしかめた。
「おいで、志鶴」
口調が和らいだ。
「こちらへ。君が無事かどうかを確かめさせてくれ」
わたしはおずおずと圭吾さんの前まで行った。
「怖がらないで」
圭吾さんはわたしの頬に触れてそう言った。
「君に怒っているわけじゃない」
じゃあ誰に怒っているの?
それとも、何に、かな?
わたしはゆっくりと圭吾さんに身を寄せた。