龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
気持ちの差って何?


「圭吾さんがわたしをそれほど好きじゃないって言うの?」


圭吾さんはわたしを愛してる。

そりゃあ、前の恋人の優月さんほどには思ってもらえないかもしれないけど

それでも今は、わたしを愛してる。


「逆だよ。圭吾君の方は真剣だ。じゃなきゃ、父さんはこの縁談に頭から反対していただろう」


じゃあ、わたし?


「わたしも圭吾さんを好きよ。大好きだもの」


「志鶴」

親父は困ったように言った。

「お兄さんのように好きなだけでは、結婚生活は続かないよ」


「お兄さんだとは思ってない」

「他に好きな人ができたらどうするんだ?」

「できない! わたしは圭吾さんだけが好きなの!」

「そう言い切るにはお前は若すぎるよ」


親父にはわたしの気持ちなんて分からない


「二十歳まで結婚しちゃダメって言うのは、だからなの?」


親父は首を横に振った。

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