龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
寒い 寒い 寒い
美幸がわたしの背中をさすってくれてる。
「しっかりして。すぐに圭吾さんが来るからね。志鶴、あんた気持ちが優しすぎるのよ。何にでも同情しちゃだめなのよ」
暗い 暗い 暗い
幸せになっちゃだめなの
自分だけ幸せになっちゃだめなの
「志鶴!」
圭吾さんの声がする。
わたしを抱く手が、美幸の優しい手から圭吾さんの力強い腕に替わるのが分かった。
ごめんなさい。わたしじゃ役に立たない
震える手がわたしの頬を撫でる。
「志鶴、しっかりして。僕を見て。君じゃなきゃだめだ」
「ごめんなさい。わたしじゃだめなの。優月さんにはなれないもの」
わたし、何言ってんだろ
「バカなこと言うな。僕がいつそんな事を言った?」
「わたし、圭吾さんにあんな寂しそうな顔しかさせられない――道隆くんをあんな冷たい家に置き去りにした」
自分でも意識が錯乱してくるのが分かった。
自分のではない言葉が口をついて出る。
「卑怯だわ。彼のためと言いながら、結局は自分の幸せのために彼を見捨てた」
美幸がわたしの背中をさすってくれてる。
「しっかりして。すぐに圭吾さんが来るからね。志鶴、あんた気持ちが優しすぎるのよ。何にでも同情しちゃだめなのよ」
暗い 暗い 暗い
幸せになっちゃだめなの
自分だけ幸せになっちゃだめなの
「志鶴!」
圭吾さんの声がする。
わたしを抱く手が、美幸の優しい手から圭吾さんの力強い腕に替わるのが分かった。
ごめんなさい。わたしじゃ役に立たない
震える手がわたしの頬を撫でる。
「志鶴、しっかりして。僕を見て。君じゃなきゃだめだ」
「ごめんなさい。わたしじゃだめなの。優月さんにはなれないもの」
わたし、何言ってんだろ
「バカなこと言うな。僕がいつそんな事を言った?」
「わたし、圭吾さんにあんな寂しそうな顔しかさせられない――道隆くんをあんな冷たい家に置き去りにした」
自分でも意識が錯乱してくるのが分かった。
自分のではない言葉が口をついて出る。
「卑怯だわ。彼のためと言いながら、結局は自分の幸せのために彼を見捨てた」