龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
「いいや。お前をちゃんと育てると、ママの亡骸(なきがら)に誓ったからだ。成人するまでは父さんの娘でいてほしい」
「なぁんだ」
わたしはホッとして言った。
「ラーメン、醤油味で頼んじゃうからね」
親父はうなずいた。
わたしは携帯電話を取り出して、近くのラーメン屋さんに出前を頼んだ。
「本音を言えば、お隣りの航太君みたいな同じ年頃の、ごく普通の男の子と恋をしてもらいたかったよ」
わたしが電話を切ると、親父がぽつんと言った。
航太みたいなの? 無茶言わないでよ。
口は悪いし、乱暴だし、絶対につきあいたくない。
まあ、悪い奴じゃないけど
「圭吾さんのどこが悪いの?」
「悪くはないよ。きっとお前を大切にしてくれるだろう」
でも――って聞こえるのはわたしの気のせい?
「わたし、親父から見れば頼りないかもしれないけど、自分の気持ちくらい分かってる。圭吾さんといたいの」
だって、羽竜の家はわたしが見つけた居場所だもの。
他の男の子は、わたしじゃなくたっていい。
でも、圭吾さんにはわたしが必要なのよ。
「なぁんだ」
わたしはホッとして言った。
「ラーメン、醤油味で頼んじゃうからね」
親父はうなずいた。
わたしは携帯電話を取り出して、近くのラーメン屋さんに出前を頼んだ。
「本音を言えば、お隣りの航太君みたいな同じ年頃の、ごく普通の男の子と恋をしてもらいたかったよ」
わたしが電話を切ると、親父がぽつんと言った。
航太みたいなの? 無茶言わないでよ。
口は悪いし、乱暴だし、絶対につきあいたくない。
まあ、悪い奴じゃないけど
「圭吾さんのどこが悪いの?」
「悪くはないよ。きっとお前を大切にしてくれるだろう」
でも――って聞こえるのはわたしの気のせい?
「わたし、親父から見れば頼りないかもしれないけど、自分の気持ちくらい分かってる。圭吾さんといたいの」
だって、羽竜の家はわたしが見つけた居場所だもの。
他の男の子は、わたしじゃなくたっていい。
でも、圭吾さんにはわたしが必要なのよ。