龍とわたしと裏庭で⑤【バレンタイン編】
3
「ねえ、志鶴。起きて」
なぁに? わたし眠いの
「学校、休むの? それとも送って行く?」
えっ、何? もうそんな時間?
「今、何時?」
わたしはベッドの上に起き上がった。
「六時十五分」
圭吾さんはもう、ちゃんと服を着ている。
「もっと早く起こしてくれればいいのに」
「疲れてるみたいだったから。学校には間に合うだろ?」
「学校にはね。でも和子さんはそうはいかないの」
平日はいつも六時半には朝食を用意される。
もちろんパジャマで食べる訳にはいかない。
クローゼットに飛び込んでバタバタ着替えるわたしを、圭吾さんは面白そうに眺めた。
「規則って訳じゃないんだから」
「ダメよ。わたしは圭吾さんの奥さんになるんだから」
ベッドの端に座ってタイツと格闘していると、圭吾さんが目の前に座った。
「貸して」
圭吾さんは器用にタイツをクシュクシュにして、わたしの爪先にあてた。
「急がば回れって言葉、知ってる?」
なぁに? わたし眠いの
「学校、休むの? それとも送って行く?」
えっ、何? もうそんな時間?
「今、何時?」
わたしはベッドの上に起き上がった。
「六時十五分」
圭吾さんはもう、ちゃんと服を着ている。
「もっと早く起こしてくれればいいのに」
「疲れてるみたいだったから。学校には間に合うだろ?」
「学校にはね。でも和子さんはそうはいかないの」
平日はいつも六時半には朝食を用意される。
もちろんパジャマで食べる訳にはいかない。
クローゼットに飛び込んでバタバタ着替えるわたしを、圭吾さんは面白そうに眺めた。
「規則って訳じゃないんだから」
「ダメよ。わたしは圭吾さんの奥さんになるんだから」
ベッドの端に座ってタイツと格闘していると、圭吾さんが目の前に座った。
「貸して」
圭吾さんは器用にタイツをクシュクシュにして、わたしの爪先にあてた。
「急がば回れって言葉、知ってる?」