【短編集】君に届いてほしいから─冬─





『ココアちゃん』、それは大和が勝手によんでるだけ。


そのひとは放課後いつもココアを持ってひとりで中庭のベンチに座ってる。



中庭は奥まったところにあるから特別棟の社会科室からやっと見えるくらいだけど、そんなところで何をするわけでもなくココアを飲みきるまで一人でぼーっとしている。



晴れた日に透ける肩くらいの髪は茶色くて、雨の日にさす傘はチョコミント。




そんなことから大和は『ココアちゃん』って呼ぶようになったんだと思う。




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