【短編集】君に届いてほしいから─冬─




会いたい、って心のどこかで望んでいた彼女は、自動販売機の前でやっぱりココアを買っていた。


「……ココア好きだね。」




「…あ、や、あの……これは先輩に、です。」




「え?」




彼女は買ったばかりのココアを俺に手渡した。



ココア……ってたしかカカオからできてるんだっけ。




「…迷惑かもしれないですけど、」





チョコと─…同じ。





「…バレンタインってことで。」




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