君とこんぺいとう
隼人のいなくなった私の生活は
一気に色あせた。

隼人と一緒なら楽しかったことも
一人では楽しくもなんともなかった。

それでも時間だけは過ぎていき
あっという間に季節は春になった。

「小川、花見に行かない?」

ぼんやりと外を眺めていた田代くんが
急に私を見た。

「お花見…?」

私はパソコンから顔をあげて、彼につられて外を見た。

窓の外から見える桜の木には
もういくつも花が咲いているのが見えた。

「お花見なら、今年もうちの課で行くでしょ?」

そう言った私に田代くんは言った。

「課で花見なんてしたって楽しくないだろ?」

「私と行ったって楽しくないと思うけど」

「お前…相変わらず暗いなぁ」

田代くんはそう言うと笑った。

「来週あたり満開になるだろうから
木曜日の夜あけとけよ。夜桜見物だ」

勝手にそう決めると田代くんは仕事をし始めた。

(行くなんて言ってないのに…)

私は彼の相変わらずな強引さにあきれながらも
外に連れ出してくれようとする気遣いを感じて
ありがたくも思った。

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