君とこんぺいとう
「田代くん…」

動きを止めた私を少しだけ離すと
田代くんは言った。

「里中と何で別れたか聞いたよ」

私はハッとして田代くんを見上げた。

「加奈子…?」

「悪い、俺が無理やり聞きだした」

田代くんはそう言って、まっすぐに私を見た。

「里中といて幸せなら諦めようと思ったけど
こんな状態じゃお前をほっとけない。
お前のことがずっと好きだったから」

田代くんは止まらない私の涙をぬぐった。

「あいつのために、もう泣くな。
俺が忘れさせてやるから」

田代くんの唇が私の唇を優しくとらえた。

「小川、好きだ」

唇を離すと田代くんは私をもう一度抱きしめた。

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