君とこんぺいとう
お礼を言おうとして顔を上げた私は
動きを止めた。

「…隼人…」

そこには心配そうに私を見る隼人がいた。

「お前、顔色悪いぞ…」

隼人はそう言うと私の額に手を当てた。

「すごい熱じゃないか。何でこんなになるまで…」

「大丈夫だから…離して」

頼ってしまいそうになる自分を押しとどめるために
支えてくれる隼人の手から逃れたかった。

「もう平気だから」

そう言う私の手を今度は隼人がさえぎった。

「平気じゃないだろっ」

強い口調で言われて、思わず体が震える。

「…家まで送ってくから」

隼人はそう言うと有無を言わさず
私をタクシーに乗せた。

タクシーの中で、私の肩を抱いて支えてくれる
隼人のぬくもりを感じて目を閉じた。

久しぶりに安心できる場所だった。

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