君とこんぺいとう
隼人と別れて以来
ぐっすりと眠れたのは初めてだった。

朝起きて天井を見上げると溜息が出た。

(隼人…帰ったよね)

ベッドのそばに隼人がいないことに気づいて
途端に寂しくなって気分が落ち込んだ。

「薬、飲まなきゃ」

ふらつく頭を抱えながらリビングに行くと
帰ったと思っていた隼人がソファで寝ていた。

「隼人…」

私はソファのそばに座りこんで
隼人の寝顔をのぞきこんだ。

「まだいてくれたんだね…」

久しぶりに間近で顔を見たせいか
目が離せない。

私は胸がいっぱいになり
彼の茶色がかった髪をなでた。

「…ごめんね。私、勝手なことばかり言って」

自然に涙があふれてくる。

眠っている隼人には届かないと知っていても
言わずにはいられなかった。

「茜さんの気持ちを知りながら
隼人のそばで私だけ幸せにはなれなかったの…」

穏やかに眠り続ける隼人の頬に唇を寄せる。

「隼人、好きだよ…。ごめんね。
もう二度とそばにいてなんて言わないから」

私は最後にもう一度隼人の髪をなでると
彼のそばを離れた。


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