君とこんぺいとう
私の部屋へ入ると、隼人はコートを脱いでソファに座った。

「萌、ここに座って」

隼人は自分の隣をポンポンと叩くと
私に座るように促した。

「これから聞くことにちゃんと答えてほしい」

隣に座った私の手を握ると隼人は言った。

「萌は田代のことを男として好きか?」

うつむいて何も言わない私を見て
隼人はふっと笑った。

「好きなら好きって言えるはずだろ?
何も言えないってことは違うってことだな」

気持ちを見透かされて
私はますます何も言えなくなる。

「萌はどうして俺から離れたんだ?」

「え…?」

隼人は静かに私に問いかけた。

「俺から離れた本当の理由は何?」

どうしてそんなこと聞くんだろう。

「前にも言ったでしょ。私は一人になりたかったの」

「そんなの嘘だ」

私の言葉に隼人はハッキリと断言した。

「嘘なんかじゃないっ。一緒にいるのに疲れたから…」

「茜のためだろ?」

思いもかけない隼人の言葉に
ビクっと体が反応してしまった。




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