君とこんぺいとう
「やっぱりそうなんだな」

私の反応を見て隼人は大きく息をついた。

「茜には俺しかいないからって思った？」

少し苛立ったように言う隼人。

「何で一人で勝手に決めた？
萌しか見えてない俺の気持ちを
考えてはくれなかったのか？」

隼人は怒っていた。でも同時にその瞳はとても悲しそうだった。

悲しませたかったんじゃないのに…。

あふれてきた涙がこぼれそうになって
私は顔をそらした。

「萌…」

ハッとしたように隼人は私の頬に手を添えた。

温かい手のぬくもりを頬に感じて
私は心が再び溶けていくのを感じた。

「…ごめんなさい」

私は泣きながら思いを吐き出した。

「茜さんには隼人が必要だったから。
隼人だけが支えだったから。
私が奪っちゃいけないって思って…」

「ずっとそんな気がしてた」

「え…？」

隼人は泣きじゃくる私を抱きしめた。

「急に一人に戻りたいなんて言いだした割には
会社で見かけても元気がなかったし、泣いてたみたいだし。
きっと何か理由があるんだろうって。
思い当たる理由は、茜のことだけだったから」

隼人の腕に包まれた私の涙腺は
完全に壊れてしまっていた。

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