君とこんぺいとう
「この前、萌が倒れた次の日、寝てた俺に言っただろ?
茜の気持ちを知りながら自分だけ幸せになれないって」

「隼人…起きてたの…?」

寝ているとばかり思っていたのに…。

「うとうとしてたから、最初は夢かと思ってたんだ。
萌が俺のことを好きだって言ってくれる夢を見たんだって」

隼人は私の髪に顔をうずめる。

「でもあのこんぺいとうを見て確信したんだ。
あれは夢じゃなかった。まだ萌は俺を想ってくれてるって」

隼人はこんぺいとうの入ったビンを見ながら言った。

「それにいつか萌を取り戻すって心に決めてたし」

隼人の言葉に私は顔をあげた。

「茜のことが落ち着いたら
また萌に告白するつもりだった」

私の視線を受け止めると隼人は少し笑った。

「でも田代との噂を聞いて正直焦ったよ。
だからもうこれ以上は待てないと思った」

「隼人…」

「萌、好きだよ」

隼人の唇が私の頬の涙をぬぐってくれる。

「萌の気持ちをちゃんと聞かせてほしい」

唇が離れると、熱い瞳で見つめてくる。

「まだ好きでいてくれてるって思うのは
俺のただの自惚れ?」

もう何も考えられずに私は首を横に振った。

「…自惚れなんかじゃない」

隼人の瞳をまっすぐに見つめ返して
もう二度と言わないと思っていた言葉を口にする。

「隼人が好き…」



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