君とこんぺいとう
私が顔を上げると、里中の視線とぶつかった。

「高校の時も見てたから知ってる。
お前は変わってないよ」

何も言えずにいる私に彼は言った、

「俺、昨日小川に会えてすごいうれしかった。
お前は同級会にも来なかったから一度も会えなかったし。
どうしてるのかなって思ってた」

『会えてうれしかった』という一言が
私を落ち着かなくさせる。

「でも昨日お前があんな風に帰るから
俺に会ったのがうれしくないのかと思って
実はショックだった」

「そんなことないっ…」

思わず身を乗り出して言ってしまって私は後悔した。

「そのつまり…
突然昔の私を知ってる人に会って驚いて
それでどうしたらいいか分からなくて」

里中はうれしそうに目を細めて笑った。

「もういいよ、分かったから。
高校の時からそういう不器用なとこあったもんな。
やっぱり変わってない」

里中の一言一言が
私のかたくなな心にしみこんでくる。

「昨日来てくれなかったから
今日は俺の歓迎会のやり直しだ」

「2人で?」

「そう、2人で」

優しい笑顔で見つめられて
私は顔が熱くなるのを感じた。



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