君とこんぺいとう
私たちは結局花火大会が終わるまで
2人で花火を見ていた。

里中は花火を見ている間、私の手を握ったままだった。

私はつながれた手から目が離せずにいた。

「どうした?」

里中に聞かれて
私は思っていたことを素直に答えた。

「高校のときのことを思い出してたの。
後夜祭のフォークダンスで手をつないだときのこと」

里中は私の言葉に微笑んだ。

「手が冷たい人は心が温かい、だろ?」

「覚えてたの?」

「ああ、でも記憶力がいいからじゃない。
小川が言ったことだったから覚えてた」

そう言われて、
私はこんぺいとうをもらったときのことを思い出した。

「あの、こんぺいとうのことは
私も記憶力がいいから覚えていたわけじゃなくて…」

「そう素直に言われると照れる」

そう言って里中は恥ずかしそうに笑った。

「さっき、田代と手をつないでたのを見て
小川を誰にも取られたくないって思ったんだ」

「里中…」

「もう他の男と手なんてつなぐなよ」

私は彼の言葉がうれしくてうなずいた。

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