君とこんぺいとう
私が心配そうに言うと、里中はふっと笑顔になった。

(何か変なこと言ったかな…)

私は首をかしげた。

「小川って言うことがかわいい」

里中の言葉に私は耳まで熱くなるのを感じた。

「からかわないでよ…」

恥ずかしくなって座っていた階段を下りようとした私は
薄暗い展示室せいで足を踏み外しそうになった。

その瞬間、両腕を支えられておでこが何かにぶつかる。

「大丈夫か?」

顔を上げると里中の顔が間近にあった。
ぶつかったのは、里中の胸だった。

「ご…ごめん。ありがと」

「酔ってなくても危なっかしいな。
ほら、行くぞ」

里中はそう言うと、自然に私の手を取った。



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