君とこんぺいとう
水族館を出た私たちは、近くの観覧車に乗ったり
喫茶店で高校時代の思い出を語り合ったり
楽しい時間を過ごした。

夕食のあと、また里中は家まで送ってくれた。

「今日はありがとう。楽しかった」

「私も」

「またどこか行こうな」

「うん」

「じゃ、またな」

手を離して帰りそうになる里中を
私は思わず引きとめた。

「あの里中っ…」

里中は握られた自分の手を不思議そうに見た。

「あの、よかったらお茶でも…飲んでく…?」

そこまで言うのが精いっぱいだった私を見て
里中は微笑んだ。

「じゃ、お言葉に甘えて」

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