君とこんぺいとう
自分の部屋に男の人がいるのは不思議だ。

私はソファに座った里中を見ながら思った。

「コーヒーでいい?」

「ああ、頼む」

里中は部屋を見回すと言った。

「女の子の部屋ってきれいだよな」

「そう?でも私の部屋はかわいげがないよ」

私の部屋は女の子らしい小物や置物がまったくない。

カーテンの色などはかろうじて淡い色にしているものの
かなり実用性を重視した部屋だからだ。

「かわいげのある部屋ってどんなだよ」

笑いながら言った里中の視線が
ある場所を見て止まった。

コーヒーを持って行き、隣に座った私は
その視線の先にあるものに気がついた。

「わ…っ」

私は慌てて立ち上がると
テレビ台の横に置いてあるビンを隠そうとした。

「それって、こんぺいとう…?」

「そう…」

「この前、俺があげた?」

「そう…」

うなずいた私を見て
里中は自分の隣をポンポンと叩いて
私に座るように促した。


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