君とこんぺいとう
私は何となくそこに居づらくなって席を立った。

「萌?」

沙織が心配そうに聞いてくる。

「ちょっとお化粧室行ってくるね」

化粧室に行ったあとも
私は席に戻りづらい気がして少し店の外に出た。

外の空気は少し秋を感じさせる風が吹いていて
とても心地よかった。

「小川」

しばらく店の外にいた私は突然呼ばれて振り返った。

「関口くん」

「どうした? こんなところで」

関口くんは歩いてくると
私のそばでお店の入口近くにある花壇に座った。

「関口くんこそ」

「俺は、これ」

そういって彼はタバコを出した。

「吸ってもいい?」

「うん…」

私はタバコに火をつける関口くんをじっと見た。

「そんなに見られると困るんだけど」

関口くんはそう言って笑った。

「あ、ごめん。タバコ吸うんだなと思って」

「会社に入ってから吸うようになってさ」

高校時代は優等生で
塾に行くために私と同じ帰宅部だった彼は、
文化祭で私と一緒に作業してくれた仲間だった。

「本当に久しぶりだよな」

「そうだね。私、同級会来てなかったから」

「俺、結構出席してるほうだけど
いつも小川はいないなぁって思ってた」

関口くんはタバコの煙を吐きながら言った。

「今日は来てよかったよ」

「私も会えてうれしい」

私がそう言って微笑むと、彼はジッと見つめてきた。

「関口くん?」

首をかしげる私に彼は言った。

「俺、高校の時、ずっと小川のこと好きだったんだ」

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