君とこんぺいとう
「え…?」

私は彼の顔をまじまじと見た。

「やっぱり気づいてなかったか」

関口くんは苦笑した。

「俺、結構アピールしてたつもりだったんだけどな」

何も言えない私に彼は言った。

「小川も帰宅部だったから、一緒に帰りたくて
下駄箱のところで待ってたりしてたんだ」

(そう言えば、よく帰りが一緒になってたかも…)

「小川らしいな」

関口くんは考え込んでしまった私を見て笑った。

「ごめん…私、本当に鈍いみたいで」

「別にいいよ。ハッキリ言わなかった俺も悪いから」

関口くんはタバコの火を消すと
ポケットから名刺入れを出した。

「これ、俺の名刺」

私は彼の名刺を受取った。

「そこに携帯の番号とメアドもあるから
暇なときにでも連絡くれたらうれしい」

「関口くん…あの、私、付き合ってる人が…」

「別に小川に彼氏とかいても驚かないよ。
友達としてでもいいから、何かの時には
俺を思いだしてくれればいいし」

関口くんはそう言うと立ちあがった。

「そろそろ戻ろうか?」

「う…うん」

私は彼に促されて店の中へ戻った。


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