君とこんぺいとう
店内に戻ると、まだ隼人の隣には洋子がいた。

沙織は私が席に戻るなり言った。

「萌、遅かったね」

「うん、ちょっと外の空気を吸いに行ってた」

「大丈夫?」

「うん、ありがとう」

私は関口くんからもらった名刺をバッグにしまったものの
何となく正面にいる隼人を直視できずにいた。

「萌」

いつもの聞きなれた声に呼ばれて顔を上げると
隼人と目が合った。

「萌、何かあった?」

隼人が心配そうに聞いてくる。

大丈夫、と言いかけて私は固まった。

(いま…萌って…)

私が恐る恐る回りを見ると、洋子と篠崎くんを始め
隼人の周りにいるみんなが固まっていた。

「隼人…、お前いま小川のこと萌って呼んだ?」

篠崎くんがやっとのことで口を開いた。

「お前たち、もしかして」

隼人はあっさりと認めた。

「ああ、俺たち付き合ってる」

その言葉を聞いた洋子は絶句していた。

「そうなの?!
なんだよ、それならもっと早く言えよっ」

篠崎くんは隼人の背中をバンバン叩いた。

「隼人、報われてよかったな~!
何年越しの片思いだ?」

「篠崎、お前やっぱりうるさい」

隼人はそう言いながらも、うれしそうだった。

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