君とこんぺいとう
同級会が終わって店の外に出ると
沙織がおかしそうに笑った。
「里中が萌と付き合ってるって言った時の
洋子の顔、見た?」
「ああ、見た見た。文字通り凍りついてた」
篠崎くんもそう言って笑った。
私と隼人はみんなと別れると自然と手をつないだ。
「俺、みんなに萌と付き合ってるって言えて
すごいうれしかった」
隼人はそう言うと私に微笑んだ。
「でも、洋子は隼人のこと本当に好きだったんじゃ…」
私が言いかけると隼人は呆れたように言った。
「なんで萌が高島のこと心配してるわけ?」
「だって…」
「萌は高島が俺にひっついてても平気だったのか?」
「平気じゃないよ」
私は即答した。
「平気じゃないから、居づらくて外に行ったの」
「それにしても戻ってくるの遅かったよな?」
「あ…うん。関口くんと話してて」
私がそう言うと隼人は足を止めた。
「関口と一緒だったのか?」
「うん」
私は名刺をもらったことを
なぜか言い出せずにうつむいた。
「そうか」
隼人はそれ以上聞かずに、また歩き出した。