君とこんぺいとう
「里中くんと付き合い始めてから
萌の雰囲気が柔らかくなったんだよ」

加奈子は食べながら続けた。

「これまでは『鉄の女』オーラだしてたけど
今じゃすっかり『かわいい女』のオーラだもん。
そりゃ、みんな寄ってくるわ」

私は戸惑った。

「鉄の女って…」

「だって、そうでしょ?
仕事以外のことは話さないし、飲み会にも行かない。
萌のことが気になっていたとしても
男どもはこれまで離れて見てるしかなかったんだもん」

加奈子は私を見ると言った。

「女は恋をするときれいになるって言うけど
今のあんたがまさにそうなわけ」

「そ…そうなの?」

「そうなの!萌は元々かわいいけど
最近は特にキラキラしちゃってるから、
里中くんも心配なんじゃないかな?」

「隼人なら大丈夫だよ」

私はあの穏やかな笑顔を思いだして、思わず微笑んだ。

「里中くんも男だからね。
自分の彼女が人気出ちゃったら絶対心配してるって」

加奈子はそう断言した。

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