君とこんぺいとう
「…隼人のせいだよ」

私は彼の腕の中でうつむいて言った。

「俺のせい?」

「だって、隼人にかわいいって思われたくて
そのためだけにお化粧したり
おしゃれしたりしてるんだから」

隼人の背中に手を回すと彼を抱きしめる。

「そうすることで私がかわいいって思われたり
声かけられたりするんなら、それは隼人のせい」

私がそう言うと、彼は黙った。

「隼人?」

「…まいった」

隼人は顔を赤くして照れている。

「そういうところが本当にかわいすぎる」

彼は私に口づけた。

「隼人のためだからね」

「ああ」

「忘れないでね」

「分かった」

私はその夜、
私だけのためにある彼の腕の中で安心して眠りについた。

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