君とこんぺいとう
茜さんは隼人に約束を取り付けると
すぐに宿泊先のホテルに帰って行った。

「萌、本当にいいのか?出かける約束してたのに」

隼人は台所でコーヒーカップを洗う私のそばで聞いた。

「うん。だって茜さん一人じゃかわいそうだし。
私はいつでも隼人と出かけられるでしょ?」

そう言ったとき、突然後ろから抱きしめられた。

「萌は優しいな」

隼人はそう言うと私の髪に顔をうずめた。

「シャンプーのいい香りがする」

私はカップを洗い終えると彼のほうに向き直った。

「茜さんと仲いいんだね」

「あいつ、小さいころから体が弱くて。
うちの母親も面倒見てあげなさいなんて言うもんだから
あいつの面倒見てやるのが小さいころの俺の日課だった」

私は懐かしそうに話す彼を見上げた。

「妹がいたら、こんな感じだろうなっていつも思ってた」

「そう」

隼人は私を見ると、にこっと笑う。

「でも今の俺の日課は萌と一緒にいること」

そう言うと私の唇にキスを落とした。

「週末、萌に会えないなんて我慢できない。
昼間は茜に付き合うけど、夜は萌に会いに行ってもいいか?」

子供みたいに言う隼人がおかしくて、私は笑った。

「うん、待ってる」

そう言いながらも、彼の言葉がうれしかった。

私も隼人に会えない週末なんて
本当は我慢できなかったから。


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