君とこんぺいとう
「ね、隼人。私とは会社でも会えるから
茜さんがいるうちは、彼女を優先していいよ」

隼人は顔を上げると言った。

「あいつ、当分帰らないみたいなんだ」

「え…?」

驚いた私に彼は言った。

「こっちに来たのは病院で検査するためだった。
検査結果が出たけど、入院することになって」

「具合悪いの…?」

「少しね。でもあいつの母親も体が弱いから
こっちまで看病に来られないらしくて俺が頼まれた」

「そう…」

「土日は病院に行ったりするだろうし
萌と出かけたりする時間は減ると思うんだ」

何も言えないでいる私に隼人は言った。

「ごめんな。でもなるべく会いに来るから」

茜さんは具合が悪くて入院する。

それなのに、隼人と会える時間がなくなるのが寂しいし
本当はイヤだと思ってるなんて口が裂けても言えなかった。

「うん、私なら大丈夫だから。気にしないで」

私はそう言うと彼に微笑んだ。
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