君とこんぺいとう
変わってしまった自分
残業中なのに、いつの間にか
昔の思い出に浸ってしまっていた。
記憶を振り払うように頭を振ったが
今日再会した里中の姿ばかり浮かんでくる。
今日中にやらなければいけない仕事だけ済ませると
集中できない自分に疲れ果て
私は帰ることに決めた。
時計を見ると22時を少し過ぎたところだった。
「まだいたの?」
ここにいないはずの人の声がして
思わず私はビクっと体をこわばらせた。
「おい、小川。シカトかよ…」
あまりにハッキリ聞こえる声に
恐る恐る声のした方を見ると
そこに里中が立っていた。
「どうして…?」
口をパクパクさせながら
やっとのことで聞いた私を見て
彼は笑った。
「その顔。面白い」
里中は自分のデスクの引き出しを開けると言った。
「明日、取引先に課長と直行するんだけど
名刺忘れたんだ。
歓迎会が終わったから取りに来た」
「歓迎会、もう終わったの…?」
「ああ、みんなは二次会に行ったけどな」
里中はそういうと
名刺入れを取り出して鞄に入れた。
「主役なのに抜けてきたの…?」
私が聞くと彼はネクタイを緩めながら
いたずらっ子のような目をした。
「じゃ、これから一緒に二次会行くか?
お前も帰るところだろ?」
パソコンの電源を切ったところだった私は必死で断る理由を探した。
「私は疲れてるから…」
「なら俺も行かない。さあ、帰ろう」
里中はそう言うとさっさと私のバッグを持って歩き出した。
「ちょっとっ」
私は慌てて彼を追いかけた。
ようやくエレベーターを待つ里中に追いつくと
私はバッグを取り返した。
「私が行かなくても
里中は二次会行きなよ」
「なんで?」
「なんでって…歓迎会の主役が帰るなんて…」
里中は私を見下ろすと言った。
「だって、もう抜けてきちゃったし
いまさら戻るのも面倒だからいいよ。
明日取引先直行だから
課長も帰っていいって言ってた」
私は彼との身長差に戸惑ってうつむいた。
「そう…ならいいけど」
昔の思い出に浸ってしまっていた。
記憶を振り払うように頭を振ったが
今日再会した里中の姿ばかり浮かんでくる。
今日中にやらなければいけない仕事だけ済ませると
集中できない自分に疲れ果て
私は帰ることに決めた。
時計を見ると22時を少し過ぎたところだった。
「まだいたの?」
ここにいないはずの人の声がして
思わず私はビクっと体をこわばらせた。
「おい、小川。シカトかよ…」
あまりにハッキリ聞こえる声に
恐る恐る声のした方を見ると
そこに里中が立っていた。
「どうして…?」
口をパクパクさせながら
やっとのことで聞いた私を見て
彼は笑った。
「その顔。面白い」
里中は自分のデスクの引き出しを開けると言った。
「明日、取引先に課長と直行するんだけど
名刺忘れたんだ。
歓迎会が終わったから取りに来た」
「歓迎会、もう終わったの…?」
「ああ、みんなは二次会に行ったけどな」
里中はそういうと
名刺入れを取り出して鞄に入れた。
「主役なのに抜けてきたの…?」
私が聞くと彼はネクタイを緩めながら
いたずらっ子のような目をした。
「じゃ、これから一緒に二次会行くか?
お前も帰るところだろ?」
パソコンの電源を切ったところだった私は必死で断る理由を探した。
「私は疲れてるから…」
「なら俺も行かない。さあ、帰ろう」
里中はそう言うとさっさと私のバッグを持って歩き出した。
「ちょっとっ」
私は慌てて彼を追いかけた。
ようやくエレベーターを待つ里中に追いつくと
私はバッグを取り返した。
「私が行かなくても
里中は二次会行きなよ」
「なんで?」
「なんでって…歓迎会の主役が帰るなんて…」
里中は私を見下ろすと言った。
「だって、もう抜けてきちゃったし
いまさら戻るのも面倒だからいいよ。
明日取引先直行だから
課長も帰っていいって言ってた」
私は彼との身長差に戸惑ってうつむいた。
「そう…ならいいけど」