君とこんぺいとう
何を言われたのか、最初分からなかった。

「え?」

「隼人と別れてほしいの」

何も言えない私に、彼女は抑揚のない声で続けた。

「私は隼人が好き。
隼人がいないとダメなの」

茜さんの言葉が静かなリビングに響く。

「昔、隼人と結婚の約束をしたの。
彼は子供の約束だと思ってるけど私は本気」

「でも…」

やっとのことで口を開いた私の言葉は遮られる。

「私、こんな体だからあなたみたいに普通に働けないし、恋もできない。
隼人のお嫁さんになることだけが私の夢なの。それを奪われたら生きていけない」

茜さんは悲しそうに私を見た。

「萌さんなら、これからだって恋はできるでしょ?お願いだから、隼人をワタシに返して!」

叫ぶように言われて私はうつむいた。

「私は隼人を愛してる」

「知ってる。隼人も萠さんを愛してる」

「だったら…」

「だから、萠さんから隼人を振ってください」


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