君とこんぺいとう
「行き先は?」
タクシー運転手さんに聞かれて我に返った私は
とっさに会社の住所を告げていた。
(何かしていないとおかしくなりそう…)
一人ぼっちの部屋でさっきの光景を思い出して泣くよりも
私は仕事に没頭することを選んだ。
会社についてエレベーターでフロアに上がると
数人が休日出勤で仕事をしていた。
いつものオフィスよりは静かで
でも一人ぼっちじゃない空間が私にはありがたかった。
「あれ、小川。お前も休日出勤?」
突然声をかけられて、思わずビクッと肩が震えた。
「…田代くん」
「何だよ、そんなに驚くことないだろ。こっちがびっくりする」
田代くんはそう言って自分の席に座った。
「田代くんも休日出勤してたんだね。知らなかった」
「予定外に仕事が長引いちゃってさ。最悪だよ。
小川も急ぎの仕事か何か?」
「う…うん。そんなとこ」
私はうつむいてパソコンを起動させる。
「そっか。お互い大変だな」
そう言ったきり仕事に没頭し始めた彼を見て
私も自分の仕事に集中した。
(いまは何も考えたくない)
病院で見た光景を振り払うように
私はキーボードをたたき続けた。
タクシー運転手さんに聞かれて我に返った私は
とっさに会社の住所を告げていた。
(何かしていないとおかしくなりそう…)
一人ぼっちの部屋でさっきの光景を思い出して泣くよりも
私は仕事に没頭することを選んだ。
会社についてエレベーターでフロアに上がると
数人が休日出勤で仕事をしていた。
いつものオフィスよりは静かで
でも一人ぼっちじゃない空間が私にはありがたかった。
「あれ、小川。お前も休日出勤?」
突然声をかけられて、思わずビクッと肩が震えた。
「…田代くん」
「何だよ、そんなに驚くことないだろ。こっちがびっくりする」
田代くんはそう言って自分の席に座った。
「田代くんも休日出勤してたんだね。知らなかった」
「予定外に仕事が長引いちゃってさ。最悪だよ。
小川も急ぎの仕事か何か?」
「う…うん。そんなとこ」
私はうつむいてパソコンを起動させる。
「そっか。お互い大変だな」
そう言ったきり仕事に没頭し始めた彼を見て
私も自分の仕事に集中した。
(いまは何も考えたくない)
病院で見た光景を振り払うように
私はキーボードをたたき続けた。