君とこんぺいとう
「何も聞かないんだね」

食事を終えて、家まで送ってもらった私は田代くんに言った。

「本当にしんどい時って話したくないだろ?だから、今日は聞かない。
でも話したくなったら、いつでも聞くよ」

「田代くん…」

「あ、なんなら、小川の部屋で朝までじっくり付き合ってもいいけど」

「えっ…?!」

驚いた私を見て、田代くんはお腹を抱えて笑った。

「小川からかうと面白いなぁ」

ゲラゲラ笑われて 私は思わずムッとして言った。

「落ち込んでる相手をからかうなんてひどいっ」

私が怒ると田代くんは笑うのをやめて言った。

「さっきより元気出た感じだな。
安心した。じゃ、俺帰るわ」

田代くんはそう言うと駅へ歩き出した。

「あ、田代くん。今日はありがとう!」

彼は私の声に顔だけ向けると
手をヒラヒラふって帰っていった。

小さく息をついた私は
マンションのに入り、自分の部屋へ向かった。

エレベーターを降りると
部屋の前には思わぬ人が待っていた。

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