君とこんぺいとう
切ない嘘
携帯の電源を切ったまま週末を過ごした私は
月曜日会社に行くのが嫌で仕方がなかった。

隼人と顔を合わせるのが怖かったからだ。

会社に着くと隼人の姿はなく
ホワイトボードには外出と書いてあった。

内心ホッとした私はいつものように仕事を始めた。

お昼休みになり、みんながランチに出かけ始めた。

「それ、今日何回目だ？」

突然声をかけられて私は顔を上げた。

「え…？」

「朝からずっと溜息ついてる」

田代くんは私を見て笑った。

「ほら、行くぞ」

「え？」

「昼休みなんだから昼飯に決まってる」

私は首をふった。

「私は食べたくないから」

「俺は腹が減ってるんだ。付き合え」

強引に私を立たせると、田代くんは私を連れ出した。

「言っただろ？
腹が減ってるとマイナス思考になるって」

会社のそばにある定食屋で
唐揚げ定食を食べながら田代くんは言った。

「本当に食べたくないんだけど…」

私は運ばれてきた定食を見て
また溜息をついた。

「食べるまで帰らないぞ」

田代くんはこういう時は本気だ。

「脅迫されてる気分…」

私は仕方なく箸を手に取り、ご飯を口に運んだ。

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