君とこんぺいとう
「私なら一人でも大丈夫。
だから茜さんのそばにいてあげて」

私の言葉に隼人は目を見開いた。

「萌、俺は…」

私は隼人の言葉を遮った。

「茜さんには隼人しかいないの。
私には仕事もあるし、隼人がいなくても…」

「萌、それどういう意味で言ってる?」

答えに詰まる私に隼人は言った。

「俺には萌と別れて茜のそばにいろって
そう言ってるように聞こえる」

黙る私の肩を隼人がつかむ。

「そう言ってるの…」

私はうつむいた。

「何で?俺は萌が好きだって言っただろ?」

いま隼人の顔を見たら、私も好きだと言ってしまいそうで
顔を上げられなかった。

「何でそんなこと言うんだ?
萌、ちゃんと俺を見て」

隼人は私の顔を自分に向けさせた。

「萌は俺のことが好きじゃない?」

涙があふれてくる。

「答えろよ」

「…離して」

逃げようとする私を隼人は抱きしめた。

「離さない。泣いてる萌を離したりしない」

耳元で聞こえる隼人のかすれた声に
私は動けなくなる。

「お願いだから離して」



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